ロードレースがボードゲームになった!
2人の選手を別々のデッキで操作して、どちらか一方でも早くゴールさせたプレイヤーの勝ち。ルールはシンプルですが、ロードレースならではの駆け引きと戦略を存分に味わえます。
入手が困難な点が非常に残念ですが、ぜひとも手に取って遊んでみてほしい軽中量級ゲームです。
※2025年1月時点では日本国内の流通はなくプレミア価格です。中古の海外版がほとんどになります。
フラムルージュの基本情報
※基本情報を隠す
タイトル | フラムルージュ(Flamme Rouge) |
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参加人数 | 2~4人 |
プレイ時間 | 30分~45分 |
BGGランキング | 総合270位(2024/1/4時点) |
BGGウェイト | Weight: 1.69 / 5 (Medium Light) |
対象年齢 | 8歳から |
発売時期 | 2016年~ |
ゲームデザイン | アスガー・ハーディング・グラネルド(Asger Harding Granerud) |
アートワーク | オッシ・ヒエッカーラ(Ossi Hiekkala) ジェーレ・カサネン(Jere Kasanen) |
拡張版情報 | Flamme Rouge:Peloton(1-6人拡張・その他:日本語版なし) Flamme Rouge:Meteo(ミニ拡張:日本語版なし) Flamme Rouge:Grand Tour(キャンペーンモード・その他:日本語版なし) |
テーマ・メインメカニクス
遊び方
2人の自転車チームを操作し、どちらか一方でもいいので一番にゴールしたプレイヤーが勝ちです。
本来のロードレースは、ツール・ド・フランスですと最大9名のチームらしいですね。
ゲームにおいては、安定的な走力を持つ「ルーラー」と、やや安定感に欠けるが爆発力を持つ「スプリンター」の2人がチームになり、プレイヤーが両方を操作します。
立ち漕ぎしている方がスプリンター。背中に「R」と「S」がついています。
各プレイヤーはルーラーとスプリンター、それぞれのデッキを持ち、個人ボードにセットします。
カードにはすべて数字が書かれており、これが走力となります。全プレイヤー共通で、ルーラーとスプリンターのデッキ内容もわかっています。
①全員同時に移動力を決める
全プレイヤー同時に、ルーラーかスプリンターのどちらかのデッキから4枚を引き・・・
その中から1枚を選んで伏せます。
残りのカードは表にしてデッキの裏へ。
選んだカードは1度限りでゲーム中2度と使えませんが、選ばなかったカードはまた後でデッキに戻ってきます。
これが終わったら、もう片方の選手のデッキから同じように4枚を選び、伏せます。
②カードをオープンして順番に走らせる
全員がセットし終わったら、一斉にオープン。
数字に従って選手を移動させていくのですが、一番前にいる二重線側の選手から常に移動します。
赤のルーラー、4。
移動後、誰もいないスペースだったら、常に二重線側に置きます。
続けて、青のスプリンター、4。
1、2、3、4。
既に赤のルーラーがいるので、その隣に置きます。
次の赤のスプリンター、9。
1、2、3、4、5、6、7、8、9。
二人を追い越して前に出ました!
続けて青のルーラー、3。
1、2、3。
少し足を休めています。
続けて緑のルーラー、4。
1、2、3、4。
続けて緑のスプリンターも4。
1,2,3・・・
4といきたいところですが、そのレーンは既に二人の選手がいるため入れないので、ブロックされてその後ろにつきます。
・・・というように全員が走力に従って進んでいきます。
③スリップストリームを解決する
全員の移動が終わったら、まずロードレース等でお馴染みのスリップストリームが発生します。
前の選手の後ろに隠れて空気抵抗を減らし、効率的に追い上げる手法です。
後ろの集団と前の集団が1マス分だけ空いている場合・・・
このように、集団ごと1マス分の距離を詰めます。そうすると、追いついた集団と合体します。
スリップストリームは連続で発生するため、続けて、前の集団(1台だけでも集団とみなす)と1マスの差がある場合・・・
再び1マス分の距離を縮めて集団が合体します。
後ろから集団ごとに解決するので、スリップストリームを利用して、少ない数字で一気に進めることも。
④疲労が蓄積する
一方で、集団を引っ張っている選手は風の抵抗を受けるため、疲れがたまります。前のレーンに誰もいない場合・・・
選手は消耗カードを受け取ります。。この場合は、トップの赤スプリンターと、第2集団の前の2台ですね。
消耗カードは最低移動力の「2」であり、選手の足を遅らせます。
受け取った消耗カードは、表にしてデッキの裏に差し込みます。
いかに疲労を溜めずにレースを進めるかがカギとなります。
スリップストリームと疲労の蓄積が終わったら、4枚のカードを引いて1枚選んで伏せ、もう一方の選手も同様に行い・・・というように繰り返していきます。
上り・下りの処理
特殊なコースとして、上り坂と下り坂があります。
上りに入る時・スタートする時・通り過ぎるときは、必ず最大移動力が5までになります。6~9のカードを出しても、移動力が無駄になってしまう他、スリップストリームも発生しません。
一方、下りからスタートする場合、最低移動力が5になります。
消耗カード(2)を使い、足を休めつつ5進むといった戦法も有効です。
コースは毎回組み直せる
ステージはタイルの組み合わせで毎回作成します。6通りの組み方が指定されているので、毎回違ったコースでレースを楽しめます。
ファンメイドのステージも公開されているので、無限にコースを作れちゃう!
※ABC..のアルファベットで指定されているものが基本版のタイルで、123…の数字で指定されているものが拡張版「Peloton」のタイルです。
感想
テーマ・フレーバー
「フラムルージュ」はツール・ド・フランスなどで残り1㎞に設置される、アーチ状の赤い門のことらしいです。
レース系のゲームは色々ありますが、2人のチーム戦で挑むという異色のスタイル。1人だけ動かして競うのとは全然別もの、そして別格の面白さですね。
勝手に心の中で「今は俺が引っ張る!」「うぉぉぉ!あとは俺に任せろ!」みたいなやり取りを思い浮かべながら遊べるので勝手にストーリーが紡がれていく点がとても気に入っています。フレーバー大好きスズメ、ここにあり。
システムやメカニクスとテーマの親和性も◎。ロードレース好きの弟が、1度プレイした後「ほんとにちゃんとしたロードレースで、驚いた!」と目を丸くしたほどです。
ゲームデザイナーは、大人気ボドゲ「ヒート」も手掛けています。フラムルージュでロードレース、ヒートではF1と、おもろいレースゲームを次々出してくれているのは大変うれしい!
アートワーク・コンポーネント
まず目を引くのが、プレイヤーのコマ。自転車に乗っている選手の精密な模型がとってもいい! ただし、少々見分けがつきにくいのが難点ですね。
自在に組み合わせることができるコースタイルも良い。全体的に立体感があって、めちゃくちゃ気持ちが盛り上がります!
ただし、選手ごとのデッキと、デッキを置く個人ボードのデザインは少々微妙。
デッキを扱うボードゲームでは、大抵は使用済みのカードを置く「捨て札置き場」を作りますが、フラムルージュでは「使用済みの手札は表にしてデッキの下に差し込む」という独特のスタイル。慣れないうちは、かなり戸惑います。
このシステムはもっとなんとかしてほしかったかな。普通に、デッキの横に捨て山置き場を作ってほしかった。
慣れればいいんですがね。
プレイ感
全員同時にカードを伏せて「せーの」でオープン、後はルールにのっとって動かすだけ。
自分の思考時間は、毎回2人の選手の走力を決めるだけです。
基本はめっちゃシンプルだし、ダウンタイム少なくてサクサク進みます。
インスト込みでも、1プレイ1時間かからない軽さ。
でも、ロードレースならではの戦略性をしっかり味わえて楽しい! コースを変更してもう一戦! とやりたくなります。
ロードレースは、いかに良い位置につけるか? 走力を温存するか? タイミング良く飛び出すか? というめちゃ頭を使う戦略的なレースだそう。そういう意味で、めちゃめちゃ原作(?)再現で、忠実に作られているようです。
デッキ構築要素もありますが、本来入れたくないカードが入ってくるためマイナス方向へのデッキ構築、デッキ管理という感じ。これは、同作者のゲーム・ヒートにも受け継がれていますね。
そういう点でも、ダイスを振ってうぉぉ~めっちゃ進んだ~だめだった~という運試し、爽快感というプレイ感とは少し違います。
限られた走力のデッキをいかに運用するかでレースが決まる。集団にまぎれながらいつ飛び出すか・・・とチャンスを慎重にうかがい、いまだ!と飛び出し勝負をかける。近くを走っている選手の息遣いを敏感に察知しながら勝負どころを見極める、実際のレースに入り込んでいるような緊迫感のあるプレイ感です。
終盤にデッドヒートを繰り広げると「いけー!力を振り絞れー!あと一歩だー!」と祈りつつカードを引いて一喜一憂! 4枚のカードの内3枚が疲労カードだったりして、全然進めなかったり、もう歯を食いしばってペダルを漕ぎまくるロードレースのスパート感をめちゃめちゃ味わいながら、盛り上がる!
そういう意味では、ものすごく爽快感。
汗と努力とスポーツの美しさにまみれた爽快感を感じまくり。汗って良いよね by インドアなスズメ
インタラクション
相手を妨害するインタラクションはありませんが、集団から引き離されないように走力を調整する、絶妙な読み合いがあります。
集団から引き離されると、スリップストリームは働かないわ、風を受けて疲れるわで良い事がありません。いかにうまく相手と歩調(車調?)を合わせつつ、相手の力を利用しつつ、相手を出し抜いて一番乗りするか、というゲームです。
リプレイ性
コースを可変できるため、リプレイ性は高いです。
元々含まれているコースだけだと物足りないですが、自分で勝手に組むこともできますし、前述したファンメイドのコースも参照すればいくらでも遊べます。
また、疑似ツアーモードのように遊ぶとなおさら面白いですよ。
1位から順に点数を付けて、コースを変えながら複数回戦い、累積での勝利を目指す、みたいにツール・ド・フランスのようなシステムにすると、面白さの次元が変化してめちゃくちゃ楽しい!
実際、このようなツアーモードは新拡張「Grand Tour」のメインコンテンツとなっており、こちらもぜひ導入したいところです。
プレイ環境(言語依存・対象/年齢/キッズ・人数・時間)
言語依存
言語依存はなし! アイコンもほとんど出てこないですし、ほぼ数字がメイン。めちゃとっつきやすいです。
対象/年齢/キッズ
公称は8歳から。
うちの4歳の娘も遊べてましたので、相当遊びやすい(ただしコースを短くして)。
非ゲーマーと遊びましたが、視覚的にとても明確だし、初心者でも大盛り上がりできることを確認しました。
ただし、ルーラーとスプリンターの違い、デッキの扱い方の点に関して最初は飲み込みにくい部分があるのでそこは補助が必要かな。
プレイ人数
2-4人。BGGでのベストは4人で、これは私も同意です。
少なくても3人はほしい!
拡張「Peloton」では、AIチームを最大5チームまで導入できるので、こちらもおすすめ(もちろん入手は困難!)
プレイ時間
公称30分~45分。ほぼ公称通りです。初プレイからこれくらいのイメージ。
相手のアクションを見てからアクションするわけじゃないので、ダウンタイムが少ないし、すごくテンポが良いです。1プレイで疲れない、良い軽中量級です。
総評
評価 | 9/10 |
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※当ブログのボードゲーム評価基準はこちら
良かった点
- ロードレースの性質を良く再現しているテーマとシステム
- コンポーネントが立体的でワクワクする
- ルールが少なく誰でもプレイしやすい
- ダウンタイムが少なく30分~45分で終わる
- 戦略性と運の程よいブレンド
- 可変式のコースで毎回異なるステージで楽しめる
気になった点
- デッキの扱い方が独特で難しい
- 爽快感というよりは駆け引き・戦略性が強い
まとめ
自然と実況が始まってしまうようなプレイ感が大好きです!
2人のチームを操作するっていうのが、やっぱりいいですね。ロードレースならではの面白さ。
ダウンタイムが少なくどんどん進み、1レース30分~50分くらいで終われるテンポの良さも好みですね。ちょっと遊びたい時にめっちゃ良い。子どもでも、比較的遊びやすいので重宝します。
現在ではなかなか入手困難になっているのが残念なところ。ぜひとも再版してほしいですね。