評価 | 8/10 |
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個人的好みは☆9。ちょい独特なプレイ感なので少しお相手を選ぶ点で総合評価は☆8!
ポップでかわいいイラストに惹かれてずっと買いたかった軽中量級のデッキ構築ゲームです。
実際に買ってみて、遊んでみたらまー面白いこと! そしてカードがかわいい。ついつい名前を呼びながらプレイしちゃう。使いにくいカードにも愛着わいてくる。気が変わりやすい子どもたちを統率できたら勝ちよ!
フォートの基本情報
※基本情報を隠す
タイトル | フォート(Fort) |
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テーマ | 子ども |
メインメカニクス | デッキ構築 ハンドマネジメント |
参加人数 | 2~4人 |
プレイ時間 | 20分~40分 |
BGGランキング | 総合715位 |
BGGウェイト | Weight: 2.44 / 5 (Medium Light) |
対象年齢 | 10歳から |
発売時期 | 2020年~ |
ゲームデザイン | グラント・ローディック(Grant Rodiek) |
アートワーク | カイル・フェリン(Kyle Ferrin) |
関連企業/団体 | レダーゲームズ(Leder Games) |
拡張版情報 | フォート ネコとイヌ拡張(Fort Cats&Dogs Expansion 日本語版なし) |
プレイ概要
子どもたちが集まったら何をする? そう、自分たちだけの国を作り始める!
子どもたちはみーんな個性豊か。時には集まってイタズラ。せっかく仲良くなっても、次の日にはふらっと他の子のところに去っちゃったり・・・。
まとまりきらない子ども集団をわちゃわちゃ集めて、自分たちだけの楽しい基地を作るのだ!
デッキ構築+aで「外側子ども向け・中身大人向け」なゲーム
軽中量級のデッキ構築「フォート」。子ども特有の「ままならなさ」「自由さ」がシステムでとてもよく再現されています。
いわゆる「デッキ構築」と思って舐めてかかると、一風変わったプレイ感に戸惑い翻弄されること間違いなし! でも「あぁ、でも確かに子どもってこうだよね・・・」って最終的には頷いてしまう、なんとも言えない面白い世界観です。一回だけだと不思議さを感じて終わってしまうかも?
子どもっぽいフレーバーとアートワークながら、中身はむしろ大人向けなデッキ構築+aゲームです。
1.手札からカードをプレイ
アイコンの量が多いのでそこの把握はちょっと時間が必要ですが、基本ルールは簡単。
手札を5枚引きます。
自分の手番が来たら、その中から1枚選んで、プレイします。みんなイカしてるデザイン。
すべてのカードはノーコストでプレイできます。
例:↑は「リソース2つ獲得」と「手札の廃棄」の2つのアクションを行えます。
同色スート(アイコン)でアクションの強化
「〇×〇」というアクションの場合、指定されたスート(カード左上のアイコン)を手札から追加で出すことで、アクションを強化できます。
↑の場合、ノリ(オレンジ)のスートを追加でプレイすることで、アクションを強化できます。子どもはとにかく、一緒に遊びたがるのです。あつまれー!!!
同色カードを集めてのアクション強化が、デッキ構築のキモとなってきます。
リソースを獲得して基地レベル上げ
カードをプレイすることで、リソースを獲得したり、基地レベルを上げられます。
リソースはオモチャとピザの2種類。
リソースを消費して、基地レベルを上げられる。
基地レベルの上昇は、最もVPを稼げる手段となるほか、基地レベルが高いとゲームを優位に進められるため、このゲームの中心の関心事となります。
他プレイヤーのアクションをフォローできる
実は、カードをプレイしてアクションを解決した後、他プレイヤーもそのアクションに追随(フォロー)できます。
例えば、相手プレイヤーが「基地レベルの上昇」アクションを行ってきたとします。
↑は他プレイヤーが出した「基地レベル上昇」のアクション。
その場合、同色のスート(↑の場合だとスコップ)を手札から出せれば・・・
自分も同じアクションを行えます。子どもがお互いにまねっこして遊び合うような雰囲気。
このルールがユニークで、お互いのアクション中のダウンタイムが少なくなり、結構ずっと考えることが多いです。
ちなみに、アクションをフォローできるのは、カードに記載されている2つのアクションのうち、上段のみで、下段は自分だけが行えるアクションとなっています。
2.カードを獲得
アクションが終わると、カードを1枚勧誘(獲得)します。公園というところに3枚カードが公開されています。
すべてノーコストで勧誘できます。
それから、このゲームのもっともユニークなポイントとして、他プレイヤーからのデッキからもカードを勧誘できる。
どういうことかというと、プレイに使わず手札に残ったカードはすべて個人ボードの上に配置します。
個人ボード上部の「裏庭」に並べられているカード。彼らは一緒に遊びに加われず「つまんねーの!」とふてくされて裏庭に溜まっている子どもたちです。
この子どもたちも、勧誘の対象になります! 「こっちの方が楽しいよ、一緒にあそぼーぜ」「行く行くー!」というわけで、子どもはとにかく楽しい場所に集まるのです。それが子どもの世界・・・。
キーカードを奪われないために相手プレイヤーのアクションをフォローして手札を消費したり、同色スートでアクションを強化して手札を減らしたりして、「裏庭」にカードを置かないように立ち回ったり、あるいは相手の「裏庭」に置かれたキーカードであろうお友達を勧誘したり・・・というクレバーな戦い方が必要となってきます。
勧誘は必ずしなければならない
お友達の勧誘は必ずしなければならないので、デッキがいい具合に仕上がっても「もう完成! これ以上はお友達要らない!」ができず、必ず1枚はお友達を加えなければいけません。なんでしょう、先生に「仲間外れを作らないであげてね」とか言われてるんでしょうかね?
お友達の奪い奪われ・・・に加えて、完成済みのお友達の輪の中に新たに加わる新顔がいるため、デッキの中身の入れ替わりが忙しい。
ゲーム終盤でもなかなかデッキが完成しない状態でプレイすることがほとんどであり、その状況下で常に最適解を探し続けなければいけないゲームとなっています。
終了条件
①誰かが基地レベルを最大にする
②誰かが25点に達する
いずれかによって終了となります。VPを一番稼いでいたプレイヤーが勝ちです。
感想
評価 | 8/10 |
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かわいいアートワーク、個性的な世界観
まずなによりも惹かれたのはフレーバーとテーマ。
非対称勢力で戦うボードゲーム「ROOT」も手掛けたカイル・フェリン氏によるアートワークが、とにかくすばらしい!
子どもの脳内イメージの世界をそのまま表現したかのようなデザインのテイストも良い。
あと、個人ボードがダブルレイヤーでしっかりしているし、コンポーネントも質感良いんですよ。
独特な没入感を生み出しており、大変好みなんですね。
不思議なプレイ感
不思議なプレイ感! なーんかうまくいっているようでうまくいかない。ちょいとイジワル心を働かせて相手の思惑を崩しつつ、こちらは相手に邪魔されないようにクレバーに立ち回りつつ・・・というゲームです。
デッキ構築と言えば、弱いカードから始まって強いカードを購入してアクションを強化していく、というのが定番ですが、フォートは強い・弱いではなく、最適なカードをデッキに引き入れて効率よく回していく「最適化」のゲームです。
同じ色を集めて1回のアクションを最大化することが基本の戦術となります。
そして、その最適化をお互いに邪魔し合う「勧誘」のルールが、さらに独特さに拍車をかけています。
デッキ構築系ゲームの中でも相手との直接的な干渉が多く、面白い!
fun(楽しい)とinteresting(興味深い)の比率で言えばinterestingより。
ゲーム終了が見えてくるとさすがに相手を妨害する余裕がなくなり、自分のデッキを回すことで手いっぱいになりますが・・・。
でも、VPを稼ぐ勝ち筋はいくつかありそうで、コンボを発見したり、組み合わせる楽しさもまだまだ眠っていそうです。
遊びやすいボリューム
他プレイヤーのアクション中にもフォローできたりと、ダウンタイムが少ないのも良いところ。
慣れてくればサクサクと進み、30分~1時間くらいで終わります。
カードだけでなく個人ボードやリソースもきちんとそろっているので、ボドゲで遊んでいる手触りもしっかり体感できます。
子どもの「ままならさ」をここまでシステムで再現したのはお見事
子どもという生き物をよく表しているゲームシステムが本当お見事。
他プレイヤーのデッキから勧誘できたり(こっちであーそぼ)、アクション(遊び)をフォロー(一緒にあーそぼ)できたり、デッキが完成してもなお絶対勧誘しなければいけなかったり(〇〇ちゃんも入れてあげなさい)・・・。
あと、初期デッキの構築も独特なんですよ。
普通、デッキ構築系は全員同じ初期デッキから始まることが多いですが、フォートでは「親友カード」2枚を除く8枚はランダムに決まります(はい、ここの子たちグループになってねー)。てんでばらばらに割り当てられたお友達から、最適なデッキの形を見つけ出していく必要がある(注:ドラフトで初期デッキを構築できる上級ルールもあります)。
どこまで意図して作られたかはわからないですが、子ども時代の自由さ、そして自由さゆえの不自由さをシステムによって再現できていて、いやはや感心します。
初期デッキの親友カードは、絶対に勧誘されることはない、っていうルールもあって、これもいいよね(俺たち、)。ただ、親友カードはいまいち能力が強くないから、デッキから除外(廃棄)されることもわりとあるのが悲しいところだけれどね・・・。
世界観を楽しめたら勝ち。勝ち筋見つけられたらゲームも勝ち。
気を付けるべき点
インフレ爽快コンボ系ではないので注意
デッキ構築と聞いて「アクション追加ぁ! 金追加ぁ! さらに金追加ぁ! ドロードロードロー! ずっとオレのターーーーン!!!」みたいな、ドミニオン的なインフレ展開を期待したら、かなり肩透かし食らいます。
派手な拡大再生産ではなく、クレバーなデッキ最適化ゲーム。
上手な立ち回りで相手の利を消しつつ、自分のデッキを形にしつつ・・・いやらしい立ち回りをしている方が勝てるでしょう。
気まぐれでやる気の上下が激しい子どもたちをいかにうまく統率して結果を出すか? みたいなゲームなので、どちらかというと保育園か、小学生低学年の先生の気持ちで臨む必要があります(?)。
言語依存はないが、アイコン理解に手間取る
このゲーム、全部アイコンで表示されているので、最初はごちゃごちゃしていて理解しづらいです。
スートの種類も多いから、↓の大判のリファレンスが必須です。
一度理解すれば後は遊びやすいですが、初プレイのハードルはゲーム性も含め若干高いかな? と感じます。
まとめ
とにかく、アートワークの雰囲気と、システムの面白さで★8をつけたゲームです。
正直好みは分かれるんじゃないかな。自分は雰囲気・システム含めて、勝ち負け抜きで世界観が好みです。
デッキ構築=拡大再生産的というイメージが強いので、そのギャップを乗り越えられたら面白い。ゆうても、きちんと強化要素も入ってますし、変動の大きい状況を乗りこなしつつデッキぶん回すのが楽しいです。
基地レベル上げがなにより一番強いので、それ以外の勝ち筋がもっと多かったらうれしい。なので、拡張入りで遊んでみたいんですよねー。日本語版がなくて翻訳必須なのですが・・・。
この不思議なデッキ構築、みんなも一緒にやろうよ!
オンラインでの販売状況
2024年9月18日時点では、まだ新品が出回ってます。
お値段も中古~新品で2,000円~3,000円前後と手が出しやすい大きさです。
スリーブ
フォートのカードスリーブは2種類。大きい方は89mm×63mmです。100枚あれば十分足ります。
ハードタイプ
ソフトタイプ
小さいカード群は44mm×67mmで、50枚あれば十分足りるサイズ。