評価 | 8/10 |
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管理人をボドゲ沼にどっぷりハメた問題作。美しいアートワーク、ワクワクを天井突破するダイスタワー、多様で何回プレイしても全くとして同じ展開になりえない無数の鳥カードたち!
いまや全世界で大人気の中量級ゲームです!
ウイングスパンの基本情報
※基本情報を隠す
タイトル | ウイングスパン(Wingspan) |
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テーマ | 動物 カード |
メインメカニクス | タブロービルド(エンジンビルド) カード配置 ハンドマネージメント |
参加人数 | 1~5人 |
プレイ時間 | 40分~70分 |
BGGランキング | 総合30位(2024/10/26時点) |
BGGウェイト | Weight: 2.47 / 5 (Medium Light) |
対象年齢 | 10歳から |
発売時期 | 2019年~ |
ゲームデザイン | エリザベス・ハグレイブ(Elizabeth Hargrave) |
アートワーク | アナ・マリア・マルティネス・ジャラミロ(Ana Maria Martinez Jaramillo) ナタリア・ロハス(Natalia Rojas) ベス・ソーベル(Beth Sobel) |
関連企業/団体 | ストーンマイヤー・ゲームズ(Stonemaier Games) |
拡張版情報 | ウイングスパン拡張:欧州の翼(Wingspan:European Expansion) ウイングスパン拡張:大洋の翼(Wingspan:Oceania Expansion) ウイングスパン拡張:東洋の翼(Wingspan:Asia Expansion) |
プレイ概要
自然保護区に美しい鳥たちを集めていこう。
森林、草原、湿地の3つのエリアに鳥をプレイ。鳥は生息が異なり、食べるエサが違ったり、卵を保持できる数が決まっていたり、千差万別。さらにはそれぞれの鳥が持っている能力が、自然保護区をさらに賑やかにする!
主なメカニクス
タブロービルド (エンジンビルド) | アクション列を強化する |
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カード配置 | 個人ボードにカードを配置する |
ハンドマネージメント | 手札を管理してプレイや得点行動を行う |
ダイスロール | ダイスを振って餌トークンを決定する |
強力な「エンジン」を構築しながら多様な方法で得点を集めよう
ウイングスパン(「翼長」という意味)は、様々な能力や属性を持つ鳥カードを自分の個人ボードにプレイしていき、もっとも豊かな自然保護区を作り上げ、多様な方法で得点を稼ぐゲームです。
鳥カードをプレイしていくにしたがって、個人ボード上で行える3つのアクションがだんだんと強化される「エンジンビルド」(タブロービルドとも呼ばれる)が特徴。多様な能力や特徴を持つ鳥カードを組み合わせ、得点を稼いでいくのが楽しいゲームです。
全4ラウンドでゲーム終了。
第1Rは8アクションできますが、ラウンドを追うごとにアクション数が1ずつ減っていき、第4Rは5アクションで終わります。
お互いに美しいアートワークの個人ボードを広げ、ゲームスタート。
「鳥カードのプレイ」「餌の獲得」「卵の産卵」「鳥カードの獲得」の4つのアクションのどれかを毎回選んでいきます。
鳥カードのプレイ
鳥カードのプレイは、その名の通り鳥カードを個人ボードにプレイします。まずアクションキューブを置く。
手札にある鳥カードが必要としている餌を支払い、生息地(左上の青いアイコン)を確認して、
鳥カードを配置します。このクラークカイツブリというカードは、魚1個を支払い、湿地(青)にプレイできる鳥ですね。ちなみに、2列目以降はプレイ時に卵が必要になってきます。
この時、鳥カードが「プレイ時能力」を持っている場合、その効果が1回だけ発動します。
餌の獲得
餌の獲得は、この位置にアクションキューブを置いて、
書かれている個数の餌を、餌箱から獲得します。
この時、すでに鳥カードが餌の獲得列にプレイされている場合、空いている一番左のマスの個数の餌を獲得できます。つまり、鳥カードを置けば置くほど、アクションが強くなります!
しかも、鳥カードがプレイされているとさらに良い事が。餌の獲得を終えた後に・・・
右から順番に、「起動時能力」を持っている鳥カードの能力がすべて発動します。
能力は追加でリソースを獲得、得点獲得など様々。これらの能力は、実際の鳥の生態をほうふつとさせるような能力になっていたりします(狩りの能力や、餌を蓄えたり、群れたりする習性など)。
追加の餌獲得。
狩りの能力。1VPを得られるチャンス(狩りなので失敗する可能性も)
手札を新しいカードに交換。「群れる」ことを再現して、手札を得点に変換できる。
新たに鳥カードを獲得できる。
起動時能力は、鳥カードが置かれている列のアクションを行うたびに繰り返し発動します。
このアクションを育ててコンボを生み出すエンジンビルドが、ウイングスパンのもっとも肝となるポイントであり、楽しい部分です。
産卵
同様に、「卵の産卵」アクションでは、マスに書かれている個数の卵を任意の鳥カードの上に置きます。
この時、鳥の保持できる卵の上限数までしか卵を置けません。この情報も、実物の鳥のデータに基づいているというこだわりよう。卵は1個1点になるため強力な得点源になるほか、鳥カードのプレイにも必要になってきます。
鳥カードの獲得
「鳥カードの獲得」アクションでは、マスに書かれている枚数の鳥カードをオープンになっている3枚の中から、もしくは山札の上から引きます。
ウイングスパンは大量の鳥カードが存在します(170枚!)。同能力を持つ鳥カードも存在するものの、卵の保持数や勝利点、必要とする餌、巣の形(これも時に重要)まで含めると、全く同じ鳥は存在せず、オールユニークです。
そのため、はっきり言えば一期一会の鳥との出会いに大きく左右されます。
このように、手札に来た鳥カードの相性を考えつつ、各列を育て、より効率的に、より強力なアクションを育て、得点を重ねていきます。
うーん、このボードの美しさ。各鳥が集まって来る様子は、やはり格別の美麗さがありますね。
鳥カード自体が持っている勝利点、卵、能力による得点行動(狩りや餌の蓄え等)の他、以下のような得点要素も。
ラウンド毎に、指定の条件をより達成しているプレイヤーが多く得点をもらえる。ラウンド終了時目標は毎回ランダムに変化します。
ボーナスカード。特定の鳥を集めると、ゲーム終了時にVPがもらえる。鳥の能力で新たに獲得もできます。
これらの得点を総合して、一番多かったプレイヤーが勝ちです。
感想
テーマ・フレーバー
ウイングスパンは何しろ、テーマとフレーバーが最強です。
鳥に特化しており、しかも1羽1羽の鳥の造形をゲームに反映する熱意がほんとにすばらしい。
鳥カードには、鳥のフレーバーテキストが書かれているだけでなく、必要な餌、巣の形、卵の保持数、さらには能力まで、その鳥カードの生態を反映する試みがなされています(能力に関しては、必ずしもその限りではない)。これがすごい! ここに魅了された人も多いのではないでしょうか。
テーマとフレーバーがしみしみにしみ込んだ(そう、肉じゃがにしみ込んだだしと醤油の味のように)メカニクスで、骨太に勝負していく様は圧巻です。この熱量を楽しめる人は、間違いなく面白いと感じられると思います!
アートワーク・コンポーネント
鳥のアートワーク、なにしろここで一本釣り。
そして、巣箱を模した組み立て式のダイスタワーでノックアウト。
かわいい卵のトークンで完全K.O。ハイ試合終了。
アートワークは本当に素晴らしい。精巧で美麗なイラスト・・・。よだれが出てきます。
あ、あと鳥のデザインについては、アプリ版も引けを取らないくらい素晴らしいので、ぜひ一度見てみてほしいですね! ただでさえすばらしい鳥たちが・・・動きます。
ダイスタワーは、使っていると結構消耗が残念な所。でも、正直、餌ダイスを後ろから入れてごろごろごろ・・・をやりたくてやりたくて。
後ろからダイスを入れて・・・。
ごろごろごろ。
ボードゲームってスゲーな! と、私をボドゲの世界に沼らせた張本人、いや張本鳥は伊達ではない!
プレイ感
最初は大量の鳥カード、そして大量のテキストに驚きます。
4アクションの中から毎回選択し、エンジンビルドしていくという、根幹は比較的シンプルにできていますが、その太い太い幹に大量の鳥カードがぶわーっと生い茂っている感じ。
鳥カードの情報量は、最初は読み込むので精一杯。「ウイングスパン」というタイトル通り、翼長のcm数まで書いてある!(しかも、時に翼長を参照する能力もあったりする)
しかし、それらの能力が無限の複雑さと組み合わせの面白さを持っていることに気づくにはさほど時間がかからず、1度プレイすると「次はもっとこうしてみたい!」というリプレイ欲がわいてくる。
「今度は餌取りまくれるコンボ組んでみたい!」「あ、気づいちゃった。餌取れる列に、卵産める鳥カード置いたら最強じゃね・・・?」などなど、無限に生まれるアイデア。でも、手元に来るカードは毎回ランダム。
こうなると、後はもうウイングスパン沼にただただハマっていくだけです。サヨナラ・・・幸せに沈んでいってね・・・。
そして、アクション数が足りない!
プレイしてあげたい鳥さんたち、能力を発揮してあげたい鳥さんたちがわんさかいて、いくらでもやりたいことがある中で、「やっといいエンジンできあがったー! でももうそろそろゲーム終わりだー!(泣)」ということがマジでよくある。「こっちで餌取っておけばこのカードもプレイできた」「ここで産卵すればさらに点伸ばせたなー」などの悔しさもいくらでもわいてくる。ほら、もう頭の中は鳥たちでいっぱいでしょう!
ゲームバランスについて
はっきりいえば鳥カードの強さには能力の強弱や差があったりします。バランスが良いか? と言われると少々微妙ですし、何しろ大量な鳥カードがあるのに1ゲームで出会えるのはそのうちのごくわずか。引きたいカードを引ける確率は小さいため、手元に来たカードで何とかするしかありません。
でもね、それがいいんですね。
パタパタと自然保護区に飛んできた、その時に出会えた鳥たちで、保護区を作り上げるのですよ。それでいい、いや、むしろそれがいい!!! そこを楽しめるかどうかは、分かれ目になるかもしれません。
それから、よく言われるのが「卵の産卵アクションが強い」ということ。
確かにその通り。3つのアクションの内、唯一得点を直接的に生み出すアクションが産卵アクションなので、だんだんと産卵列をどのように組み立てるか? が勝つために重要なことに気づき始めます。
さらに、ラウンド終了時目標なども、卵に絡むケースが多い。
それゆえ、他の列にプレイできる鳥カードよりも、産卵列にプレイできる鳥カードのバリューが相対的に高くなってしまったり、ゲーム後半はお互い産卵しまくる・・・といった単調なゲーム展開になることもあります。
個人的には、確かに気になる時もありますが、それはそれで別にいいかな? と。あくまでカードの引きによりますしね。
ちなみに、拡張版「大洋の翼」では、個人ボードに調整が入っておりそのあたりのバランスが改善されているようですよ!
インタラクション
主なインタラクションは次の通り。
・餌や鳥カードの取り合い
・ラウンド終了時目標の取り合い
・他プレイヤーのアクションに依存する鳥カードの能力発動
・全プレイヤーにリソースを配る鳥カードの能力発動
ウイングスパンは、インタラクションはかなり薄めです。一番強いのは、ラウンド終了時目標の順位付けでしょうか?
基本的には、自分の個人ボード上でスコアアタックして得点を競う、というプレイ感です。お互いに自分の鳥たちを愛でて、最後には一位を決めましょうね、みたいな優しいノリですね。インタラクションが強いゲームを楽しみたい方には向いていないと思います。
攻撃的要素はほぼ皆無です。
鳥カードには他プレイヤーに干渉する能力もありますが、リソースを全体に配る系がほとんどで、メリットを共有する平和なつくりになっています。互いにリソースを配り合うと、全員がぶん回し始めて、全体の得点がどんどん高くなっていくのが楽しいんですよね。
リプレイ性
リプレイ性の塊です!
鳥カードが大変多く、個人ボード上にプレイできるのは最大15枚まで(15枚埋めるのは至難の業)なので、理論上は10回プレイしても全部の鳥をプレイしきれるかどうか・・・というところです。体感としては、20回プレイしたとしても全鳥カードを使う機会はないですね。
現在では「ヨーロッパ=欧州」「オセアニア=大洋」「アジア=東洋」という3つの拡張版が出ており、400枚を超える鳥カードの枚数が存在(基本版はアメリカ大陸の鳥が収録されています)。今後、アフリカをはじめとしたほかの生息地の鳥カードも拡張版で登場する可能性は大いにある。さらなる新しい能力と組み合わせが広がる! 鳥カードの山札が、とんでもない高さになりそうです笑
「あ、この組み合わせつおいのでは!?」などという発見を毎ゲームできちゃうため、もう無限に遊べますよ~。
アプリやBGAでもじゃんじゃん遊ばれています。アプリはAI戦ができるので、遊び相手がいなくてもいくらでも鳥さんと戯れることが可能に!!! デジタルとはかなり相性の良いゲームだと感じますね。
プレイ環境(対象・人数・時間)
対象・年齢
公称は10歳から。テキストが多いので、漢字が読めるかどうかによるかもしれません。
初心者には、比較的とっつきやすいですがプレイ時間的には少々重いかな? と思います。とはいえ、プレイ感が平和ですし、初心者や、女性プレイヤーにも食いついてもらいやすいテーマだと思います!
プレイ人数
1-5人までプレイ可能。BGGでは「3人ベスト」となっています。
個人的には、2-3人がベストです。
プレイ時間
公称は40分-70分。
慣れている2人で40分、という個人的な感覚。そして、慣れるまで時間がかかります。
4人-5人になると、70分では終わらないんじゃないかなあ・・・。少なくとも、インスト込みだと2.5-3時間は溶ける印象。
ゲーム終盤になるにつれ、アクション内で起動する能力も増えて時間が長くなるので、ダウンタイムも多くなりがちです。
総評
評価 | 8/10 |
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ウイングスパンは、カタンとパンデミックしか知らなかった私を、大人になってからボドゲ沼という底なし沼に引きずり込んだ問題作です。
ウイングスパン・・・なんて偉大なんや・・・ありがとう・・・。
それ以来、アプリでダウンロードして回しまくり、BGAでプレイしまくり、と、鳥さん漬けの日々でしたが、その反面リアルでプレイする機会になかなか恵まれず、いざプレイするとなっても、自分で言うのもなんですがそれなりに(周囲の仲間よりは)強くなってしまっており・・・。
ウイングスパンはリプレイしてこそ楽しいゲームだと思っていますが、慣れること自体に時間(プレイ数)が必要です。そのため、もう一度!と遊ぶのに(時間的)ハードルは少々感じますね。
自分は、そこそこプレイ回数が限られている中で遊ぶゲームを選定しなければいけない事情があり、なかなかウイングスパンは卓が立てづらい、というのがリアルな所です。
そして最近、話題になっている「自然テーマ+やり込みゲーム」としてフォレストシャッフルとの出会いも大きいかもしれません。
フォレストシャッフルは1プレイがコンパクトに15分~30分ほどで終わり、ゲームシステムやカードもウイングスパンほど複雑ではないセットコレクションゲーム。
ウイングスパン遊びたい・・・でもより軽く遊びたい・・・と思っている方は、フォレストシャッフルおすすめです。私も最近ではもっぱら、フォレストシャッフルばかりプレイしています。
当然、ウイングスパンも面白い。自然テーマ・やり込みゲームという点で似ていますが、おいしさの方向性が違う料理みたいな感じです。
フォレストシャッフルが牛丼1杯をかっこむイメージなら、ウイングスパンは定食って感じですね。
システムとプレイ感がしゅっとまとまっているフォレストシャッフルに比べ、ウイングスパンは複雑性があり、手番数が決まっていることによって計画性も求められる。1回1回のプレイに「食べ甲斐」があります。その分、さっとプレイしたい時には、私はフォレストシャッフルに手が伸びがちです。
そんな事情があり、ウイングスパンの現状での総評は☆8! この総評は、あくまで上述した個人的な最近のプレイ事情が関係しています。とにかく、ゲームは面白いのです。面白さは文句なしの☆10! 胸を張っておすすめできます。
なんだか、少々愛憎(?)漂う総評になってしまいましたが、今やボードゲームの世界的看板作品の1つとなったボードゲームです。ぜひお試しあれ!
販売状況
デジタル版ウイングスパン(有料)
ウイングスパンは有料アプリでも遊ぶことができます。基本版は1000円強。拡張版は「欧州の翼」「大洋の翼」がそれぞれ別途購入できる状況です。
全世界のユーザーとも対戦ができますし、AI戦も可能です。動くイラストがステキなので、アプリ版もかなりおすすめ!
Steam版
Apple版
Android版
スリーブ
ウイングスパンのカードサイズは87mm×56mmです。鳥カードとその他のカード合わせて、カード総数212枚あるので、スリーブは200枚以上必要です。
ハードタイプ
ソフトタイプ
得点計算アプリ
ウイングスパンにはスコアシートが同梱されていますが、無料のアプリで得点を入れることもできます。いちいち書くのが面倒な方は、ぜひご活用ください。
なんだか、Apple版の方がかわいくていいですね。Androidユーザーの私orz。