アルマナック ~ドラゴン街道紀行録~ | 本をめくって旅するギミックが楽しい!【レビュー】

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ワカプレ中量級の隠れた名作!?

ファンタジー世界で商売をするワーカープレイスメントゲームです。本をめくるたびに新しい街が現れ、ワーカープレイスメントの舞台となる変わったギミックを持つ中量級ゲーム。根幹はシンプルですが独自なギミックが各所にあり面白い。「アル〇ック」と一文字違いで間違われやすいですが、こちらも間違いなく名作!

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目次

アルマナック~ドラゴン街道紀行録~の基本情報

※基本情報を隠す
タイトルアルマナック ~ドラゴン街道紀行録~(Almanac:The Dragon Road)
参加人数2~4人
プレイ時間60分~90分
BGGランキング総合4,104位(2024年時点)
BGGウェイトWeight:  2.06 / 5 (Medium Light)
対象年齢12歳から
発売時期2020年~
ゲームデザインスコット・アルメス(Scott Almes)
アートワーククリス・バイアー(Chris Byer)
ジャッキー・デビス(Jacqui Davis)
拡張版情報Almanac: The Crystal Peaks(シリーズ作品、日本語版なし、日本販売なし)
参考元:ボドゲーマBoardGameGeek 2024年12月11日現在

テーマ・メインメカニクス

遊び方

アルマナック~ドラゴン街道紀行録~は、ファンタジー世界で商売を通じてVPを稼ぎます。
6ラウンドで終了し、最も多く名声(VP)を持っていたプレイヤーが勝ちです。

基本のメカニクスはシンプルなワーカープレイスメント(手持ちのワーカーを共通ボードのアクションスペースに置いて効果を解決する)ですが、ゲーム展開にひねりが効いており、毎回異なる展開で飽きない工夫が凝らされています。

本になっているボード、変化するワカプレのルール

本をめくると、ラウンド1のステージが!!!

まず、目を引くのが、この本になっている共通ボード。
見開きで全17ページあり、各ページが旅の途中で訪れる村や町となっています。ラウンドが進む際に、この本をめくって指定のステージを開くのです。ファンタジー小説の世界を旅していくようで、とてもワクワクします!

各ステージが終わると、必ず次のステージへの選択肢が2つ用意されています。1ラウンド目は1Pから始まり、最終ラウンドは16Pか17Pに必ず行き着きますが、途中のルートはゲーム毎に異なります。

あまりネタバレはしたくないですが(別にレガシーじゃないのでしても良いんですけど隠しておいた方が楽しみが増えるじゃないですか)、例として、次の街はこんな感じ。

まずラウンドの初めに、そのページの左側のフレーバーを読み上げます。これ大事! 物語の中で遊ぶのです。
そして、各ページ毎に、ワーカープレイスメントのルールが異なるのでそれも確認。
その村のルールにのっとって商売しましょう、という感じですね。

例えば、最初の村では「同じギルドには1度しか置けない」。
各ページのルールは複雑ではなく、一読すれば理解できるシンプルなルールです。

ゲームが進んでいくと、そのページでしか使われないトークンなどが出てきます。特産品みたいな感じで、これもストーリー性があって楽しい。

基本ルール

ワカプレの配置ルールは変化しますが、行うアクションは大体同じです。

このマスでは、ワーカーを置いたら商品がもらえる。基本の商品は全4種類です。

ちなみに、4色の商品はそれぞれ名前がついているのですが、ガチ中二病な名前で読みにくい。結局イロで呼び合うことに。

もらった商品は、自分の隊商の荷車に配置します。最初は6個までしか置けません。

当然、もっとたくさん商品運びたいよ! となってくるということで、このマスではオープンになっている隊商カードを選び、隊商を拡張できます。

隊商カードは、指定の商品と金を支払うことで購入できます。さらに・・・

ワーカーのマークがついている隊商カードは、ワーカーを増やせます。
ワーカーはそのラウンドから即時使えるので強力。初期は3個ですが、最大6個まで増やせます。
あとご飯食べさせなくていい。ラクだ!

その他、隊商カードは勝利点と持っていたり、隊商の戦闘力をあげたりできます。

このマスは、指定の商品を任意の数だけ、指定の額で売却できる。金はそのまま勝利点になります。後半のラウンドほど高く売れるようになっていきます。

ここに置くと、自分が持っている「契約カード」(ゲーム開始時点で2枚持っている)を、指定の商品を支払うことで完了できます。

上記で言うと、緑3・赤2を支払うと達成できます。ガバッと勝利点がもらえる(見えにくいですが、下部にある33が勝利点)だけでなく、ゲーム中ずっと発動できる永続効果も得られます。

初期ステージでは出てきませんが、このマスでは新たに契約カードを引くことができます。
契約カードは勝利点を大量に得られますが、逆にゲーム終了時に未達成のまま所持していると、勝利点がそのまま減点になるので少々怖い。

ここは、いろいろできるが全体的に弱めの効果のマス。

こんな感じで、商品を取得・売却したり、契約カードを取得・達成したり、隊商カードを追加していったりして、勝利点を稼ぎます。

ラウンドによっては、その街でしか得られないトークンがあったりします。

「指定の街まで持っていったら良いことあるよ~」という書簡トークン。商売して回ってたら、ついでにお使い頼まれるっていうパターン。
こういう街特有のマスが所々に出てきます。

最後の方のステージでは、売却額がかなり多くなったり、追加アクションができたりしてだんだんと展開が派手になっていきます。

ラウンド終了時

さて、ラウンドが終了すると、次の街(ラウンド)に行くための処理を行います。
次に行けるステージが2つ記載されています。細かい情報はないですが、「高く売れる商品とたくさん手に入る商品」の比率がわかるようになっています。

競りでスタートプレイヤーを決定

「ガイド」と呼ばれるスタートプレイヤーが、2ステージに分岐している中からどちらに行くかを選択できます。ガイドは競りで決定します。

各自、自分の金を握りこんでオープンし、一番高い額を提示したらガイドになれます。
ただし、支払うのは「プレイヤーの中で一番少なく提示された額」で良いというのがミソ。4人が4金,6金,8金,10金と握ったら、10金を出したプレイヤーがガイドになり、実際に支払うのは最小の4金です。

↑の例で行くと、黄プレイヤーが10金を出したのでガイドになれますが、支払うのは最小の額を出した赤プレイヤーの4金でOK。

こういうシステムなので、ガイドにならなくてもいいやーと思っていても、なるべく高く支払わせるためにちょうど良い額を握りたい。
ガイドを譲る代わりに勝利点をなるべく吐き出せたい、ただし握りすぎると自分が欲しくないガイドを取ってしまう・・・という駆け引きです。

ガイドが確定したら、ガイドは次に行く街を決定します。

旅の途中にイベント発生

ガイドはランダムに選ばれた「遭遇カード」というイベントを引きます。町から町へ移動する道中で、色々なハプニングが起こるのですね。イベントによっては、ガイドに有利に働く場合もあります。
遭遇カードは計5回引きますが、A→B→C→D→Eと変化していきます。

商品がもらえたり、金がもらえたり・・・とプラス方向のメリットのあるイベントが多めですが、時々戦闘が発生します。

隊商カードの合計値の戦闘力プラス、0~3の数字が出るダイスを2つ振って、判定。勝てば良い事が起こるし、負ければ損害を負います。

隊商カードの右上、盾マークの数値の合計が戦闘力になるほか、契約カードや1枚戦闘力2の「護衛トークン」などなどで戦闘力を強化できます。

ただし、毎回戦闘になるわけではないので、各人の判断で戦闘にしっかり備えるか、割り切って別の方面を伸ばすかを考えます。

このような感じで、イベントが解決したら次の街へ行き、独自のルールでワカプレを行い、イベントを解決して次の街へ行き・・・を6回繰り返して終了です。

感想

テーマ・フレーバー

ファンタジー世界×商売という角度が結構好きです。本がボードになっているのが、ファンタジー小説のページをワクワクしながらめくっていく子ども時代の感覚を思い出させてくれて良い感じ。

こちらはルールブックでして、町から町への全体図が描かれています。イイネ!

各ページに町の特徴が書かれていて、それに基づくルールが設定されているのも面白い仕掛け。さらに、町から町へと移動していくテーマをきちんとギミックとして落とし込んでいるのも好感触です!

アートワーク・コンポーネント

箱自体が本の装飾になっていて、凝ってる。

全体的な色合いは色彩豊か。イラストも受け入れやすい雰囲気で良いですね。
このゲーム、コンポーネントが結構色々あります。というのも、各ページでしか使えないトークンが色々あるのですよね。町ごとにセッティングするのがワクワクして良い感じ。

トークン類が多いから収納はやや大変だけど、箱内のインサートもついてます。点数としては・・・80点くらい! なかなかいい感じです。

プレイ感

ワーカープレイスメントの基本といった感じで、とてもシンプル。
各ページ毎に変化するルールも、難しすぎず覚えやすいです。ですが、このルール変化が結構味が効いている。シンプルなんだけど単調にならず、常に変化があって、全体を通して振り返ると、要素の多いゲームをこなしたような満足感があります。

そのほかのルールとしても商品を買う・売るといったシンプルだし、あとワーカーにご飯を食べさせる必要がないし、ワカプレの入門としてもとても遊びやすいんじゃないかな。

ワカプレという1つのメカニクスをずーっと使いながらも、置き方が刻々と変わっていくというギミックは良いですね。同じ共通ボードでルールを変化させると混乱しそうですが、アルマナックではページをめくって完全に異なるステージでやるので、これが実現できているんでしょうね。

スタートプレイヤーを決めるのが競りで、しかも支払い額が「一番低い額」というのが、良いインタラクションを生み出しています。ガイドになりたくない人も積極的に参加できる仕組みになっており、海外のいろんな動画でも賞賛されているポイントでした。

ラウンド間で起こるイベントも、「旅の途中に遭遇するいろんな出来事」という感じでフレーバーにめっちゃ合ってる! イベントカードは、もっとたくさん種類を増やしてくれても良かったかなー。

自分の隊商をどんどん拡大したり、ワーカーや戦闘力を高めたり、契約カードで能力がついていったり、後半になるほど売却額が増えて行ったりと、強化・インフレする拡大再生産要素もあるので、遊んでいて爽快感があります!

気を付けるべき点としては、初期のワーカーが3つで最終的に6つまで持てるのですが、ワーカー数が2つ以上差がつくと、あからさまにプレイヤー間のパワーバランスが崩れます。ワーカーは所得したラウンドから即時使えるし、ご飯いらないので、もらったもん勝ちなんですね。このあたりは、うまく経験者が調整してあげる必要があるかも。

あと、各ラウンドのルールを知っているプレイヤーの方が、予備知識がある分やや有利になるのは避けられませんね。ただ、いっぱいページあって全部覚えるのは難しいので、プレイングにそこまで影響はないかも。
6ラウンド目に訪れるページは、他のページと違って売却アクションが強いので、事前に商品を溜めておいた方が良い、という点あたりは共有しておいた方が良いかもしれません。

インタラクション

ワーカープレイスメントのマスの取り合いと、ガイドを決める競りにインタラクションがあります。

ワカプレは4人プレイだと結構狭い。必然的にスタートプレイヤーを目指したくなりますが、ワカプレにありがちな「このマスを踏んだらスタP」というマスがなく、競りで決めるというのは良いルールだと思います。

リプレイ性

契約カードや隊商カードにもランダム性がありますが、なによりもステージのランダム性がリプレイ性を生み出しています。

1ゲームではページ毎に分岐し、全17ページ中6ページを旅します。毎回違うルートになるため、今のところ3回ほどプレイしていますが、まだ未プレイのページもある。何度でも楽しめそうですね~。

プレイ環境(言語依存・対象/年齢/キッズ・人数・時間)

言語依存

言語依存は高いです。マイページのフレーバーとルール説明・契約カード・イベントカードがテキストなので、和訳は必須でしょう。
個人的に、このゲームはフレーバーがめっちゃ大事だと思っています(イベントカードにもフレーバーが記載されているので、読み上げた方が「旅してる感」が出る!)。

対象/年齢/キッズ

公称は12歳。

初心者でも、結構遊びやすい印象です。ボドゲ苦手な私の妻も(時間はかかりましたが)楽しかったと言っていました。ストーリー仕立てっぽくなっているので、飲み込みやすいんじゃないかな。

ルールを教えてあげれば、子どもでも比較的遊びやすいと思います。
「車をでかくする」「商品を車に乗せる」「商品を売る」というシンプルなルールで楽しめるのではないかと。ただし、後半のラウンドで出てくるステージのルールは少し難しいものもありますが。

プレイ人数

2-4人。

BGGでの推奨ベストは3人で、私も同意ですが、2人/4人プレイでも十分楽しいと思います。

2人プレイだと配置制限が加わり、個人的にはちょうど良い制限かなと思いました。でも、ちょっと物足りなさも感じるかな?
3人と4人の配置ルールは同一なので、4人だとあからさまにセマイ!(笑) ですが、押し合いへし合いしながら一緒に旅する感じも楽しいですよ。

プレイ時間

公称は60分-90分。うん、フレーバー読まないである程度ルール把握できているメンバーでやれば、それくらいかな。
いちいちフレーバーを読み上げてストーリーを楽しみたい、私みたいにめんどい遊び方を好む場合は、1人当たり30分くらいを見ておいた方が良いのかな? とも思いました。

総評

評価9/10

※当ブログのボードゲーム評価基準はこちら

気に入った点

  • ファンタジー小説を旅するような本をめくるギミックが面白い
  • 入門と言えるようなわかりやすいワーカープレイスメント
  • ラウンドごとにワカプレのルールが変わるのがストーリー性を感じて好み
  • 成長・拡大再生産要素がありインフレを楽しめる
  • 全員参加を促す競り(スタピー決め)の手法が面白い

気になった点・懸念点

  • ワーカー人数に差がつくとあからさまに有利・不利がはっきりする
  • 事前にルールを知っているプレイヤーが有利になる
  • 言語依存が強い

まとめ

ストーリー性を感じられる展開、シンプルなルールとひねりの効いた構成、後半に向けて展開が派手になっていく感じなど、全体としてとても気に入った中量級ワカプレ!

世間での認知度はあまり高くないように思いますが、これはほんとにアタリでした。買ってよかった。

本のページをめくることで、共通ボードを毎回刷新してルールを設定するの、フレーバーもギミックも最高すぎる。

海外のゲーマーたちは、こぞって競りのシステムを絶賛してましたね。最小の額を支払えばよい、というルールのおかげで、自然と全員参加できる構造になっている。確かに!

ただ、個人的にはそこは「あーなるほどー」くらいの感覚で、やっぱり楽しいのはルールが変化していく中での商売、旅フレーバーですよ。まじでファンタジー小説に入り込んだ感覚、楽しい!

やってることはただの商売なんだけど。
町ごとに定められているルールも、どことなくその町の風習を模していて面白いし、ラウンド間に起こるイベントも旅の風味を感じられて良い。町ごとに独自のマスがあって「これをあの町に届けてくれないか」とか「この町の名産品だよ! 便利だよー!」など、そのラウンド限りでしか使わないトークンやルールでプレイするのも、旅の醍醐味って感じで良いじゃないですか。別に必要じゃなくても、踏みたくなっちゃう。
その世界の住民になって、ロールプレイしながら進んでいくのが、楽しいですね。

そういう意味では、全ページの要素を合計するとものすごく多いんだけれど、毎ゲーム6ラウンド(6つの街)しか回らないしそのたびにしっかりルール説明があるし、結局のところやることは毎回根幹は同じワカプレだから、すごくライトに遊べるんですね。
でも、全体としてみるとすごくプレイに充実感があるのです。

非ゲーマーの妻も(時間はかかりましたが)遊びやすそうで、初心者がやる重いゲームとしてもおすすめです。これ。

あと、ルールを事前に知っているプレイヤーは明らかに知らない人より有利なんですが、ぶっちゃけ17ページもあるしマスの配置までいちいち覚えてられないから、実際にはそこまで問題じゃないのかな・・・? と。もし気になるなら、知っているプレイヤーは「ここはね、こういう町でね~」と、事前にふんわり教えてあげれば良かとです。現実世界でもいますよねそういう人!

ワーカーにご飯食べさせなくてよいというわかりやすさと引き換えに、ワーカー増やすのは明らかな強手なので、差が付きすぎるとややパワーバランスが崩れるかな・・・?と思いました。

ワーカーを増やせる可能性のある「隊商カード」は、毎ラウンド、プレイヤー人数分しか公開されないのですが、個人的にはプレイヤー人数+1公開することで、全プレイヤーのチャンスが増えてやや差が軽減されるかな? と。

ボードゲーム会での超有名作であり中量級の重鎮となりつつあるアルナックの一文字違いで、何がとは言えないけど何となく損してるような位置づけのゲームですが、シンプル目でフレーバーが薫り高い中量級を探している方には、ぜひおすすめでし!

販売状況

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