ファースト・イン・フライト First in Flight | 気分はライト兄弟! 40mの有人飛行を成功させろ【レビュー】

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飛行士としてフライト勝負。テーマとシステムの融合具合に唸る中量級

時は飛行機黎明期。人類史上初の有人飛行に成功したライト兄弟の時代のパイロットとなり、誰よりも遠くまで飛行機を飛ばそう! というテーマ。
デッキ構築+チキンレースをメインとした中量級ゲームです。
テーマとシステムの融合具合がすばらしく、プレイしていて楽しい! 日本語版が出ていないのが悔やまれるところです。

※日本語版がないため、日本国内での流通はほとんどありません。

目次

ファースト イン フライトの基本情報

※基本情報を隠す
タイトルファースト・イン・フライト(First in Flight 日本語版なし)
参加人数1~4人
プレイ時間45分~75分
BGGランキング総合2,109位(2025/2/10現在)
BGGウェイトWeight:  2.26 / 5 (Medium Light)
対象年齢12歳から
発売時期2023年~
ゲームデザインマシュー・オーマレー(Matthew O’Malley)
ベン・ロゼット(Ben Rosset)
アートワークトマシュ・ボグス(Tomasz Bogusz)
アメリア・セールス(Amelia Sales)
拡張版情報First in Flight: Pilot Pack(日本語版なし、ミニ拡張。パイロットカードを5組追加) 
参考元:ボドゲーマBoardGameGeek 2025年2月10日現在

テーマ・メインメカニクス

遊び方

飛行機黎明期のパイロットになり、前人未到の40mを誰よりも早く飛んだ人が勝ち!というゲームです。
ボード上にすごろくのようにマスが並んでおり、そこを全プレイヤーが一周すると1年。ゲームは計4年までプレイできます。

共通ボードの外周には飛行記録トラックがあり、誰かが40mを飛んだら終了の合図。4年(4ラウンド)経って誰も40m飛んだプレイヤーがいない場合は、一番高い記録のプレイヤーが勝者になります。

どうやって飛行記録を伸ばすかというと、写真上に映っている飛行機マークのマス「Fly Action / 飛行アクション」で飛ぶことができます。

そして飛行アクションは・・・

飛行アクション用のデッキを使います!
上記は全員共通の初期デッキで、4枚の1mカード(滑空カード)と4枚の初期欠陥カード(赤い方)、そのほか特殊な「経験カード」と降下カードを持っています。
降下カード以外をシャッフルしてデッキにし、1枚ずつめくっていきます。

左上の距離を合算していきます。現在、2mまで飛びました! 何枚めくるかは、自分の意思で決められます。
有名なボードゲーム「クアックサルバー」の福引に似ているかもしれません。

茶色の「経験カード」は1m距離を伸ばしつつ・・・

さらに白い滑空カード(飛距離1m)をサプライから取ってデッキに加えられます。デッキ強化ですね。

しかしながら、飛行機の初期の時代、テスト飛行には問題がつきものです。
赤い「初期欠陥カード」は1mの飛距離としても合算されますが、同時に問題マーク(赤の衝突のようなマーク)を加算していき、このマークが4つ出ると、墜落となってしまいます(墜落時の処理は後述)。
初期欠陥カードは、問題マークを加算するだけでなく、テキストが書かれており、色々飛行にとって面倒な厄介事を引き起こします。

飛行アクションを終えるには、必ずどこかのタイミングで「降下カード」をプレイしなければなりません。降下カードはデッキの中に入れずに脇に用意しておき、任意のタイミングでプレイできます。

降下カードをプレイした直後、デッキをシャッフルして、さらに2枚のカードを強制的にプレイしなければなりません。その際に問題が4つになったら、その時点で墜落!

降下カードは、墜落しなければ飛距離5mになりますが、墜落すると2mとして数えられます。

墜落してもゲームオーバーというわけではなく、コマを横に倒します。
回復するためのコストを支払うと、再びコマを立たせてアクションができるようになります。

ちなみに、このゲームでは問題が起きること=悪い事とは限りません。

飛行アクション後、めくった初期欠陥カードを2枚まで「ガレージ」に保管できます。
飛行機の問題を洗い出せたということで、この初期欠陥カードは「修復アクション」を行うことでダウングレードすることができます。

このマス。
修復アクションで指定のコストを支払うと・・・

相変わらず問題マークはついているものの、厄介なテキストがついていないただの「問題カード」にダウングレードできます。さらに、右上に書かれているボーナスを即座に得られます。問題を修復して、経験値を得た! という感じですね。これにより、さらに飛距離を伸ばしやすくなります。

当然、初期デッキでは全然飛距離を伸ばせないので、色々な方法でデッキを強化する必要があります。

このマスはアップグレードアクション。

アップグレードアクションでは、コストを支払うことで飛距離2~5mの「アップグレードカード」を2枚をデッキに加えられます。強い! 代わりに、初期欠陥カード1枚をさらにデッキに加えなければいけませんが、それと引き換えに一気に飛距離を伸ばすことができます。

こちらはスキルカード。

デッキの並び順を確認したり、問題カードをデッキの一番下に送り込んだり、といった効果で飛行アクションをサポートします。飛行アクション中に1回使えます。

こちらは技術カード。

飛行アクションをサポートしたり、それ以外のゲーム進行に有利になる効果があります。ゲーム中ずっと永続的に効果が働きます。

こちらは友人カード。

使える機会は限られるものの、強力な能力を持っておりプレイヤーをサポートしてくれます。

ロンデルとタイムトラックの組み合わせ

さて、そもそもゲームをどのように進行していくかというと・・・

共通ボードの中央のロンデル(すごろく)のようなトラックを周り、コマに書かれているアクションを解決することで行っていきます。ロンデルは一方通行で、他のプレイヤーがいるマスには止まれません。

手番は全員共通で回るのではなく、「ロンデルの一番後ろに位置するプレイヤー」が常に手番プレイヤーとなります。

何マスでも進んでよい(一番最後のマスに一気に進んでもよい)ですが、その分、他のプレイヤーに連続手番を与えることになります。

時間マス

ファースト・イン・フライトの特徴は、マスとマスの間にある小さな「時間マス」です。

このゲームでは、コストとしてお金以外に「時間」を支払うという概念があり、時間を支払う際には、時間マスを進みます。

例えば、飛行アクションで墜落したプレイヤーは、次の自分の手番では必ず「回復アクション」として2時間を支払わなければなりません。そのため・・・

自分の前にある時間マスを2つ進みます。
カードの能力で時間を支払うものもあれば、アップグレードアクションの獲得や、初期欠陥カードをダウングレードする修復アクションの際にも、時間を支払える場合があります。

プレイヤー能力

プレイヤーは10人のパイロットの中から1枚を選んでプレイします。
有名なライト兄弟をはじめ、みな実在の飛行士で、固有の能力を持っています。

アップグレードカードを獲得しやすかったり、スキルカードが使いやすくなったりと、それぞれ違う能力を持っています。

プレイヤーの飛行記録が15mに達すると・・・

カードを裏向きにします。これはパイロットが有名になったことを意味し、即時ボーナスをもらえると共に、パイロットの能力が強化されます!

ちなみに、1年の内もっともすぐれた飛行記録を持っていると、年間開始時にもらえるお金が増えます。

ゲーム終了条件

4年(4ラウンド)が経ったらゲーム終了。一番飛距離を飛んでいるプレイヤーの勝ちです。

もしくは、誰かが4年の間に40mの飛行記録を出した瞬間に終了トリガーが引かれます。
終了トリガーが引かれたら、各プレイヤーが最後の飛行アクションを1回ずつ行い、飛行記録を競います(終了トリガーを引いたプレイヤーも含め)。

YouTube動画リンク

※動画内でプレイされているのは流通前のテスト版のため、実際のゲームプレイ・コンポーネントは異なります。

感想

テーマ・フレーバー

飛行機黎明期のテーマが非常に没入感があり、楽しい!
後述しますが、システムとテーマの噛み合い方が大変良い。テーマありきのシステムで、しかもそれが面白い。

みんな違うパイロットでゲームをプレイするので、その時代を生きているような感覚になります。固有能力がまた良い味出してますね。
現在、日本語版は出ておらず、ルールブックに記載されている各パイロットの解説などは英語なので読みづらいのが残念なところです。

アートワーク・コンポーネント

ノスタルジックなカラーリングと、空を飛んでいる突き抜けるような爽やかさが大変好みです。

箱絵も良いよねえ~~~。

もう、この箱絵もかなり、買う決め手になりましたもんね。

それからコンポーネントは、飛行機のコマがめっちゃいいんですよ。

1つ1つユニーク。
ノスタルジック&フレッシュな爽快感をぜひ味わってほしい!

プレイ感

チキンレースとデッキ構築がゲームの中心です。
全体的に、テーマとシステムが本当に良く融合していてすばらしい!

一喜一憂するのは、やはり飛行アクション。
デッキを1枚ずつめくっていくのがはらはらします。

もちろん、基本的にはカードのめくり運が大きいです。クアックサルバーなどの袋引きと似た感覚があります。
どれだけデッキを強化しても、問題4枚連続!墜落!終了!飛距離10m!みたいなことも全然起こりえます。

めくり運でバーストする恐怖におびえながら、「それでもまだ飛ぶぜ!うぉぉぉ!」ってなるのが、「安定飛行には遠い時代」というテーマとマッチしていて良いんですよね。

そして、初期欠陥カードを発見したら、アクションによってダウングレードできるのもGood。初期欠陥を修復するとボーナスとしてデッキも強化されるので、むしろ序盤の内は初期欠陥カードはめくりたい。失敗は恐れてはいけないのですよ、チャレンジには失敗がつきもの! トライ&エラーのすばらしさをシステムで良く表しており大好きです。

15m飛ぶと、パイロットが有名になって即時ボーナスをもらい、能力が強化される・・・というのも、成長している感があって楽しいです。

デッキ構築の方向性もいくつかあって面白い。

アップグレードカード(2m~5m)を中心に、少ない枚数で飛距離を効率的に伸ばしていくか、もしくは滑空カード(1m)を大量に入れて40mを達成するか。スキルカードや技術カード・友人カードを使ってデッキ外からめくり運をコントロールするか。問題カードをなるべくデッキに入れずに安定飛行を目指すか、などなど。他プレイヤーが踏んだマスは入れないので、相手の動きも見つつ、最善手で効率的な強化をしていく戦術眼が必要です。

強化の方向性がいくつかありながらも、勝利条件は「(40mを超えた上で)誰よりも飛ぶ」というシンプルなレースに集約されているのでわかりやすい。

誰かが終了トリガーを引いたら、全員に最終飛行チャンスが与えられるのも良いですね。
誰が最初に40m飛ぶか?を競いながらも、必ずしも最速で飛べばよいわけではなく、最終チャンスで飛行記録を抜かれる、という可能性もいくらでもあります。「今40m飛べそうだけど、あの人の方がもっと飛びそうだよな・・・できるだけ強化しとくか・・・」みたいな牛歩戦術が必要な場合もあります。

飛行アクション時に使用する「降下カード」のデザインもとても気に入っています。
飛距離を5m伸ばせるチャンスの代わりに、降下カードプレイ後に残りのデッキをシャッフルして強制的に2枚プレイする(その間スキルカード等のサポートはできない)というルールが秀逸。これにより、スキルカードでデッキの下に送り込んだ問題カードも新たに引く可能性が出てきて、はらはらします。

また、降下カードのサイズは他のカードよりほんの少し大きく、間違ってデッキに混ぜてシャッフルするのを防いでくれるのもお見事。

気になった点①:運の要素

良くも悪くも、運が大きく絡むゲーム。
上振れ(めっちゃ調子いい)したプレイヤーと下振れ(めっちゃうまくいかない)したプレイヤーでかなり差がつくことがあります。

誰かが40m飛ぶと、全プレイヤーに飛行アクションの権利が1回与えられてゲーム終了するのですが、デッキ強化の方向性をミスっていると、そもそも40mの飛距離を出せない中途半端なデッキだったりするため、「飛ばなくても負け確だしなー」というケースもあります。

気になった点②:ダウンタイム

また、飛行アクションはゲーム終盤になるにつれてだんだんと長くなっていくため、その間他のプレイヤーは待ち時間となり、ダウンタイムが気になる人もいると思います。特に、自分のデッキがうまく回っていないと、ガンガン飛んでる他プレイヤーの飛行を見せつけられて凹むかもしれません笑

誰かの上振れと、自分の下振れを笑い飛ばせる心の余裕が大切! あとは、その運をできる限りコントロールするためにデッキ構築頑張りましょう。

それから、4年経つとゲーム終了するという設定ですが、これまでプレイして4年間経ってゲーム終了したことが1回もなく、大概は3年目のどこかで誰かが40m飛んでゲーム終了します。4年間必要だったのかな・・・? 終了トリガーが40mだとやや短い気もしますね。

気になった点③:飛行アクション時のカウントが面倒

それから、これはデザイン上の気になった点ですが、飛行記録が伸びていくと、「今何m飛んでいるか」がわからなくなり何度も数え直すのが億劫になります。

対策としては、↑の写真の背景に映っているように、10m飛ぶごとに少し塊を作り、数えやすくしています。

気になった点④:デッキ外のカードが多く処理忘れがち

通常のデッキ構築だと、すべてのカードをデッキ内で管理しますが、ファースト・イン・フライトではデッキ内のカードは飛距離カードと問題カードのみで、デッキの外から飛行をサポートする様々なカードがあります。

飛行アクションの坊主めくりに集中していると、サポートカードの処理を忘れることも結構あります。

インタラクション

ロンデル(すごろく)部分のアクションは取り合いになるため、強いインタラクションが発生します。その他は飛距離を伸ばせるアップグレードカードや滑空カードも枚数に限りがあり、誰かが集めまくるとカードが枯れるので、早取り要素が若干ある。

あとは、誰が最初に40m飛ぶか? ですね。

飛行アクションは「どれだけ飛距離伸ばせるか?」というソロのスコアアタックになっていますが、それ以外の部分がインタラクションという感じですね。

リプレイ性

固有能力を持ったパイロットが10人いて、毎回違う特技を持ってプレイできるため何度もプレイしたくなります。

デッキ構築の方向性もいくつかパターンがあるため、リプレイ性は高いです!

プレイ環境(言語依存・対象/年齢/キッズ・人数・時間)

言語依存

言語依存は高めです。
パイロットカード、スキルカード、技術カード、友人カードなど、ゲームに使う多くのカードにはテキストが書いてあります。基本的にはアイコンも書かれていてそれを覚えればプレイ自体はできるのですが、まあでも実際プレイしているときはテキストの方を読みますね。能力が色々あって正直覚えられない・・・。

対象/年齢/キッズ

公称は12歳。

カード能力にテキストが多く、言語依存が高いという点から、適正年齢はやや年齢高めかなーと思います。ゲーマーさんであれば、多少英語が多くてもプレイはしやすいと思います。完全に和訳できれば、飛行アクションのめくりが楽しいので、比較的誰でもプレイしやすいかな。

プレイ人数

1-4人。BGGベストは3人です。

ソロプレイだとオートマ2人、2人プレイだとオートマ1人を加えて必ず3人プレイになるため、ベストは3人ですね。4人だと、構築の差が出やすいかも。

プレイ時間

公称は45分~75分。
おおむね、公称通りという感じです!程よい中量級ですね。

総評

評価8.5

※当ブログのボードゲーム評価基準はこちら

良かった点

  • ノスタルジック&爽やかなテーマとアートワーク
  • 飛行アクションのチキンレースがアドレナリン出る
  • 強化の方向性が分かれるデッキ構築
  • パイロットの固有能力でリプレイ性高し

気になった点

  • 運が大きく絡む
  • 上振れと下振れの差が激しい
  • 飛行アクション時はダウンタイム長め
  • 日本語版がないので和訳必須

まとめ

個人的な好みで言えば☆9.5くらいなのですが、日本語版がない&言語依存高めという点、戦略的なゲームながら運試しが大きな軸になっているというシステムの好みが分かれるかな? という点から、やや実際に遊ぶ際に出しにくさを考慮して☆8.5! としました。

何しろ没入感のあるテーマとフレーバー、テーマとがっちり融合しているシステムはゲームとしてもちゃんと面白く見事に機能しているし、運と戦略は程よいブレンド感、重すぎずかつしっかり遊び甲斐のあるプレイ感と、自分が好きな中量級のいろんな要素を満たしており、プレイしていて満足感が高い。個人的にドはまりなゲームです!!
運がメインなんだけれど、運をコントロールする構築力で十分張り合えるのが良き。

もちろん、自分のデッキが全然回らず置いてきぼりになってあっという間に飛行アクションが終わり、他のプレイヤーが悠々と空を飛んでいるのを長々と見せつけられると、さすがに「もうやってられんわ」という心境にもなりますが。

そこは、パイロット能力や運のせいにしてもう一回! となります。

日本語版がないのがとても残念ですが、本当に面白いです。
個人的に完全和訳が成功したら☆9に訂正しようと思います、はい。ぜひうちに遊びに来てください。
もうこれは好み。はい。レビューブログなのに高評価のゲームばかりで比較しずらくすみません。

現状、日本国内での入手は難しいですが、米アマゾンなどから輸入可能です!

販売状況

※日本語版がないため、日本国内での流通はほとんどありません。

スリーブ

First in Flight / ファースト イン フライトには2種類のカードサイズがあります(厳密にいえば3種類?)。

大きい方のカードは140枚あり、サイズは57mm×89mmです。
小さいほうのカードは40枚あり、サイズは44mm×68mmです。

大きいカードよりもわずかに大きい「降下カード」は全5枚ありますが、これは特殊なサイズです。

ハードタイプ(大きい方)

ソフトタイプ

ハードタイプ(小さい方)

ホビーベース
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ソフトタイプ(小さい方)

¥220 (2024/10/26 21:21時点 | Yahooショッピング調べ)
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